○ 会長挨拶
 関東都市学会は、1964年の設立以来半世紀にわたり、関東地区の研究者が都市を学際的に研究する場となってきました。また日本都市学会とともに、「都市学」がいかにあるべきかを追求しています。
 都市研究が世界的に本格化したのは、1920〜30年代です。この時期わが国でも都市学会が組織されました。戦争の時期をはさんで1953(昭和28)年、新たに日本都市学会が設立されました。これが本学会の直接の起源となります。学会設立から間もなく、日本都市学会を母体に、各地方ごとに地域都市学会が設立されました。学会本部のあった関東地区は最後になりますが、1964(昭和39)年に関東都市学会として設立されました。こうして日本都市学会は、北海道、東北、関東、中部、近畿、中四国、九州の7つの地域都市学会の連合体として運営されることになりました。それぞれの地域都市学会は、日本都市学会の支部(北海道は現在支部機能を停止)であると同時に独立した学会としても活動しています。関東都市学会として、2007年に日本学術会議協力学術研究団体の指定を受けております。
 関東都市学会の草創期は、高度経済成長期の都市急膨張と重なります。その後低成長への移行に伴って都市の成長も緩やかになり、近年では人口減少とともに都市の縮小が課題となっています。また工業化の時代から脱工業社会に移行することによって都市の個性や文化が問われることにもなっています。グローバリゼーションも急速に進みました。さらに阪神淡路大震災、東日本大震災を経て都市災害も重要な課題となりました。近年の本学会で扱われるテーマはこうした分野の議論が中心になっていると考えてよいと思います。
 関東都市学会の特色は、まず第1に学際的であることです。都市をめぐる学問分野は社会学、地理学、歴史学、都市計画学、建築学、政治学・行政学、経済学・財政学、法律学、観光学さらに文学など多くの分野にまたがります。学際性(インターディシプリナリ)は本学会の正式設立以前からの最大の特徴と言えます。その上で都市固有のアプローチは何かと、都市学の在り方を模索しています。第2に、研究と実務の相互往来です。日本都市学会の設立期以来、在京の都市研究機関が団体会員として学会活動で重要な役割を果たしています。また自治体職員の方々が個人会員として本学会に参加しています。実務を学問的に見つめ直そうとする活動とアカデミックな研究の相互作用を大事にしています。また後述するように各地の自治体と協力した大会を毎年開催しています。第3に、世界最大規模の東京大都市圏を本学会の活動範囲にもっています。第4に、本学会の成り立ちでも述べましたように、関東都市学会会員は自動的に日本都市学会会員となります。会員が研究成果を大会で報告したり年報に投稿する場合、2つの学会における機会を利用できることになります。
 本学会は、春と秋に年2回の大会と年2回の研究例会を開催しています。春季大会(総会・研究発表会)は研究活動委員会が企画するテーマに沿ったシンポジウムと会員による研究報告が行われます。秋季大会(大会)は原則として自治体と協力してそれぞれの地域の課題をめぐって開催することにしています。また『関東都市学会年報』を年1回発行しています。年報には論文の査読制度があり、大会及び研究例会で報告した研究について投稿することができます。また関東都市学会の大会、研究例会で報告した研究を『日本都市学会年報』にも投稿できることになりました。研究活動委員会は、学会の委員会であると同時に若手の研究者の集まりとして共同研究を行っています。
関東都市学会は都市を総合的に研究したいという個人、団体を歓迎いたします。関心をお持ちの方はぜひ、会員または学会事務局にお問い合わせくださいますようご案内申し上げます。
2015年5月
熊田俊郎(関東都市学会会長/駿河台大学法学部教授)