○ 会長挨拶
 会長就任にあたり、一言でいえば「コロナの時代」から今日に至る関東都市学会の事業・活動を自分なりに振り返ってみたいと思います。
 前会長のもと、新型コロナウイルスの蔓延が、私たちの日常生活・経済活動に多大な影響を及ぼし、都市なるものの本質である「集積性」、「流動性」、「多様性」を直撃し、都市の脆弱性が露見しました。この様な社会状況のなか学会としてどう対峙しうるのか、そしてこれを都市学の枠組みにおいてどう論じていくことができるのか、という問いに対し2021年度を中心に、新型コロナウイルスの蔓延が都市やその研究に及ぼす影響に関する検証を重ねてきました。
 一方、都市や地方との関係において「コロナの時代」をポジティブに捉えれば、これまでもリモートワークやこれを踏まえた郊外・地方居住などがフォーカスされてきましたが、生活スタイルの多様化・個性化や、ICT・AI技術の進歩に伴うDXの普及、働き方改革などを背景に社会生活の変化が早まったとも言えます。
 都市と地方との関係性を、社会生活様式、行動様式の時代変化を背景に、定住人口だけでなくいわゆる交流人口や関係人口の視点から評価しようという流れも一層進んでいるかに思えます。
 また、都市・地方の構造やそこに暮らす人々の幸福感、ウェルビーイングなどに対する洞察も必要になり、都市を論じるうえで研究者、実務者の垣根を超えた交流と活発な議論が不可欠になったといえます。
 上述したように本学会は都市を多角的に学際的に論じる場です。そこには研究者・教員だけでなく、行政職員や各界の実務家、NPO・NGOなどの活動者など、多彩な人々が参画し多くの分野にまたがって議論が展開されます。私も実務者・研究者として参画しています。
 都市を学際的・総合的に研究したいという皆様にとって、関東都市学会が、研究・実務への知的刺激の場として、学会「大会」での研究報告の場に加えて、年に数回の研究「例会」において報告登壇の機会を設定しています。例会・大会で報告すると、学会誌『関東都市学会年報』(査読誌)へ投稿することができます。学会誌は学会誌編集委員会によって編まれ、投稿論文の査読体制が整えられています。編集委員会は研究活動委員会と協働して学会での諸議論の成果を刊行しています。
 是非、皆様の参画をお待ちしております。
2023年5月
関東都市学会会長
熊澤健一

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